パリで活躍する素敵な方々にインタビューし、それぞれの「モンパリ」をお聞きします。



セ・サンパ
感じいい!親切!ちょっと贅沢!「セ・サンパ」とパリジャンは表現します。そんなサンパなパリを、ほぼ毎週更新でご紹介しています。
マダム・ボ−シェに聞く 
2005.10
 ■ Interview つづき
7、 日本ではこういう職業はあまりよく知られていないのですが上級公務員ということなのですか。

はい、でも我々はまず司法官ですね。ですから、政治家のキャリアを進む人もいます。代議士になったり大臣に選ばれたり… その場合はコンセイユ・デタをその期間離れなければなりません。兼任はできないのです。そんなに多くではありませんが内閣に入って官房長官になったり、政治顧問になったりする人もいます。その他、別の機関に行ったり、私企業に天下りする人もいます。

8、 繰り返すようですが、日本ではこうした官庁での男尊女卑観がまだまだ根強く、女性によって下された判決は受け入れにくいというイメ−ジがありますね。少しづつ変わってきてはいますし、例外もないではありませんが。

  原則として一人で判決を行う場合は別として、男女混じって審議した結果の判決ですから。判決は審議した結果に出てくるものなので問題になりません。それにフランスでは女性の裁判官が沢山いるのです。ですから女性の判事一人による判決でも問題にならないですね 。

9、 最後にパリジェンヌとしてパリはどうですか。お好きですか。

  もう78年もパリに住んでいるんですよ(笑)。この街は大好きです。歴史的な地区に住んでいるという特権もあって、道の一つ一つ、建物の一つ一つが昔のまま。本で読んだ歴史的な過去を持ち、21世紀の今も生きつづけているのがパリです。そしてそれは現代でも充分に機能している。人間のサイズにできているので歩いて生活できるんです。住みやすい街です。私も歩き回るのが好きで、よほど遠い所ならメトロやバスを利用しますが、車は必要ありません。それに素敵なブティックやデパ−ト、美術館もすぐ手が届くところにあって、本当に街が肌に感じられます。
今回はちょっと硬くて地味な分野で活躍された方のお話だったのですが、こういう地味に活動している人達によってフランスの政治や文化の基礎作りが成されているのだなと実感しました。フランスはボン・サンス(良識)の国といわれますが政治家や法曹関係者なども芸術やあらゆる方面に博識です。バランスのとれた人達が集まって、ボン・サンスは厚みのある基盤を形成していくのです。
マダム・ボ−シェは今年78才ですが、なお溌剌としています。彼女の素晴らしいところは、それまでは男だけの牙城であった領域で輝かしいキャリアを築き、高い地位についたにもかかわらず、何事も無かったかのごとく、慎ましやかに振舞っていることです。アポイントには必ず時刻10分前には来られていて、こちらが赤面してしまいます。「時間を守ることは約束した相手への最低の礼儀です」と彼女は言います。それで日本の諺を思い出しました。
「実るほど頭を下げる稲穂かな」
三人の素晴らしいお子さんに恵まれ、ご主人とも夫唱婦随(逆 ?)。そういう仕事と私生活の両立という私達の理想ともいうべきことを彼女はなんなくこなしてしまいました。知性というか、育ちの良さも感じられます。私たちも励まされますね。
いつまでもお元気で上等のシャンペンのようにパチパチとしていてください。
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