パリで活躍する素敵な方々にインタビューし、それぞれの「モンパリ」をお聞きします。



セ・サンパ
感じいい!親切!ちょっと贅沢!「セ・サンパ」とパリジャンは表現します。そんなサンパなパリを、ほぼ毎週更新でご紹介しています。
音楽の都・パリのピアニスト 
その1 2足のわらじで日本にも上陸 2007.06

 ジャン・ルイ・ベイドン氏は、パリ近郊ヴァンヴ市のコンセルバトワールの校長先生です。一方、アラン・ルプレストを始め、多くのシャンソン歌手の伴奏も手がけ、国内外で活躍する毎日です。《モンパリ》の音楽情報でおなじみのシャンソン歌手石原歩さんの伴奏者として、昨夏も日本へ演奏旅行。今は(昨年10月からロングラン)、エディット・ピアフの歌をコメディ・ミュージカル仕立てにした《L‘EMPIAFEE》に、クリステル・ショレーのピアノ伴奏者として出演中です。忙しい氏の、学校と舞台の合間を縫って、その音楽人生について伺いました。

ジャン・ルイ・ ベイドンさん
 5歳からピアノを始め、7歳の時には、既に、将来はピアニストか指揮者になりたいと願っていた。国立の音楽学校で、音楽理論、作曲、サキソフォンを学び、多くの賞を受賞。その後、18歳でヴァンヴ市のコンセルバトワール(音楽学校)に教師として入り、指導者の道を進む。
 また若い頃からシャンソン・フランセーズや芝居の世界に興味を持ち、現代の『きらめく才能の詩人』と言われるアラン・ルプレストのピアノ伴奏を10年間担当した。また、ベルナール・ジョワイエ、アンリ・コルソー、ピエール・バルー等多くの歌手の伴奏をし、フランス内外で年間100件以上のコンサートをこなす。アヴィニオン、ブールジュ、フランコフォリなどの音楽祭やテレビ・ラジオの出演も多い。
 現在は、ヴァンブ市コンセルバトワール校長

 ■ Interview
1、 大評判の「 L'empiafee 」では、ピアノ演奏だけでなく、同時にとても重要な役も演じていらっしゃいますね。役者を開眼されたように思えますが。楽しんでいらっしゃいますか?
  演出家のレミ・カッシアが、ただのピアノ演奏者を望まなかったのです。クリステルはいつも私をからかうのですが、そんなリアリティーのある役柄を演出家としては作りたかったようです。この公演のために、たくさん練習してきましたが、いつも楽しんでいます。

2、 昼間は校長、夜はピアニストで、休む暇がない毎日ですね。
 今は、とても大変です。でも、興味のある挑戦でもあります。
800人の生徒と、40人の教師、19のオーケストラの責任者として、音楽、演劇、ダンスを指揮しなければなりません。私の役割は、このコンセルバトワールを望む方向へ導くことです。国や所属する地方の規則は尊重しなくてはなりませんが、自由闊達にもできるのです。コンセルヴァトワールをできる限りよい方向へ推し進めるため、教師達が最善の力を発揮できるように努めています。
この学校の特徴は、古代の音楽、クラシック、演劇、ダンス、そしてジャズ、現代音楽や新しいテクノ等とても開かれていること。たくさんのコメディ・ミュージカルも上演してきました。私の仕事は夢中になるほど面白いけれどとても大変です。だからこそ一方で、アーティストとして演奏することが私にとって、とても重要なのです。教えることだけの日々は望みません。演奏することは、私の源であり、最大のエネルギーを持ち続けさせてくれます。

3、 4歳から、ピアノを弾き始めたそうですね?
  いえ、もっと前です! 両親と一緒に住んでいましたが、その家にはピアノがあって、2−3歳で既に音を探して楽しんでいたようです。母が言うには、生後6ヶ月でもう歌っていたそうです。ちょっと、大袈裟だと思いますが。いずれにしても、音楽に対して、とても感受性が強かったようです 。

4、 その後、ピアノではなく、サックスの免状をとられましたね。でも、サックスは吹かず、ピアニストに・・・。
  とても長い話ですよ!  6 歳の時からピアノを正式に習い始めましたが、ピアノには正式のの免状はありません。というのは、その時代は、プロになりたい人は大先生の特別なレッスンを受けたのです。だから、免状はありませんでした。今は変わりましたが。
15歳の時にサックスを始めました。国立音楽学校のコンクールで1位を取り、それからヴァンヴのコンセルバトワールに教師として入り、そして校長になり・・・。時間がないため、サックスを吹くことはもうなくなりました。選択しなければならなかったのです。ピアノのほうが仕事がたくさんありましたし、それに、ダンスパーティで演奏したり、歌手の伴奏を始めていましたし。

5、 音楽の世界の中、音楽をするのにとても良い環境で育ったのですね?  
家族の中には、何人かの音楽家、画家、骨董屋がいます。
とにかく、7人兄弟のうち、 3 人がピアノ、トランペット、ホルンのプロの音楽家です。
 
6、 パリは音楽にとって特別な街ですか?
パリは、音楽にとってとても重要な都です。仕事も一番ありますし。本当に多くのアーティストがパリに来ます。私自身、パリで生まれ、パリは大好きです。

7、 多くの国で演奏されていますね。特別にお好きな国は?
様々な文化に触れ、自分を豊かにすることができるので、旅が大好きです。好きなのは、日本やアメリカ、タヒチ、モロッコ、カナダ、エジプト等々。

、 毎年夏に石原歩さんと日本へ公演に行かれていますが、その経験は価値があるものでしたか ?
勿論! 国を訪ねる時、ただ単に旅行者として行くよりも、その国のバイリンガルの歌手と一緒に行くということは、伝統や生活習慣、家庭のこと、家屋のことなど、その国をより良く理解できます。

、 日本人に対して、どんな印象を?またコンサートの観客の反応は?
日本人の接し方が好きですね。
歓迎ぶりも素晴らしかったです。皆さんがプレゼントをくれる。その日本のしきたりにはとても驚きました。フランスの習慣にはないので、ちょっと戸惑いましたが。
私は、日本人の観客は、ちょっと冷めていて、うやうやしく殆ど宗教的な態度で音楽を聴くと考えていましたが、実際は、とてもユーモアのセンスがあり、大変反応が良かったです。とても興味深いことでした。そして、驚いたのが、日本人がよくシャンソンを知っていることです。例えば、ジョー・ダッサンの「オーシャンゼリゼ」などは、全員が手拍子をとりながら、一緒に歌ってくださいました。

10、 日本の街や文化については、どのような印象を持たれましたか?
素晴らしい神社・仏閣。特に、奈良や京都、歴史や文化、芸者や舞妓の衣装、着物やゆかた等々に感銘を受けました。3回とも沢山のお土産を持ち帰りました。日本料理も大好きです。たいてい私は、ある国を訪ねたら、先ずその国の郷土料理を味わってみるのですが、日本では、さしみや鮨を食べ、日本酒を飲み・・・・。

歌手クリステルさんとの打ち合わせ風景



L’empiafeeの情報サイト http://www.christellechollet.com/
Du mardi a samedi, a 20h
Au Theatre Comedie Republique
1, Boulevard Saint Martin 75003 Paris
Tele:01.40.29.03.02 Metro: Republique,

その2、”La vie (人生) ”シャンソン・フランセーズ
【back number】 vol.1 パリは私を放っておいてくれる街 平沢淑子さん
  vol.2 パリのエネルギー源は人間関係 芳野まいさん
  vol.3 エール・フランスパイロット 松下涼太さんに訊く
  番外編 ワイン評論家 “ジャン・マルク・カラン“に訊く
  vol.4 全てが絵になるパリの景色の中で 寺田朋子さん
  vol.5 マダム・ボ−シェに聞く
  vol.6 日仏交流の最前線で
  vol.7 パリで育ち、世界に羽ばたく 山田晃子さん
 

vol.8 光に魅せられて 石井リーサ明理さん

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