9、
(キリスト降誕祭のイコン の解説のつづき)
ロバと牛がいますね。
新約聖書にはロバも牛も書かれていませんが、旧約聖書の預言者ハバキュック(第 3 章 2 節)とイザイ(第1章 3 節)が書いています。
10、
主要場面の周りに他の場面が構成されているわけですね。
はい。左から右に、中心場面の周りを回転して展開する動きの中にいろいろな場面が読み取れます。左上には、星を崇拝するペルシア人風の装いの博士たち。博士たちは星に導かれ道を辿りつつあり、宇宙の王を礼拝するためにやってきました。降誕祭のコンタキオン(賛美歌)には「博士たちは星とともに歩む」とあります。
「この同じ地域に、野中で羊の群れを見守って夜を過ごす羊飼いたちがいました。主に仕える天使が彼らに現れ、主の栄光は彼らを光で包みました。その時彼らは非常に恐れたが、天使が彼らに言った、恐れることはない。私はあなた方に全人類に大きな喜びとなるよい知らせをもたらしに来たのだから。今夜、ダビッドの街にあなた方のために救世主、主、キリストが生まれた」ということで、右側には羊飼いたちが書かれています。
主を見分ける徴は、ルカが書きました。「秣桶の中に産着に包まれた赤子を見つけるだろう」(第2章8−11節)
11、
右下の産湯の場面は?
文献的な起源はありませんが、産湯はキリストの人性を示しています。
12、
そして左下に老人が見えますが。
この場面はヨセフの懐疑とみなされています。元々はこの人物は羊飼いの一人で、天使のもたらす良き知らせを聞いていましたが、徐々に今の場所に移動しました。というのもイコンは一日で出来上がったものではないからです。ちなみに、降誕祭の最初の表現は 4 世紀初期に遡ります。
13、
降誕祭のイコンは、さまざまな時空間に展開する場面が合わさっているのですね。
はい。博士たち、天使たちと羊飼いたち、産湯、ヨセフ、生神女と赤子という5つの場面を並べることででき上がっているわけです。
14、
ところで、イコンの書き方の特徴を一言で言うとしたら?
テンペラ技法で書くということです。テンペラは、油彩が始まる前、木の板にイコンを書くために用いられていた古典的な描法です。顔料をすりつぶし、卵黄と混ぜて絵の具を作り、それを水で薄めて使います。
また、本物の金、24金の箔を使います。天を象徴する金です。
15、
イコン以外の画家としての活動は?
パリで最初の個展が1997年ですが、その後99年にヴェニスで、2000年にローマで、そしてそれから、またパリで・・・と。最初に勉強したのは、油彩による古典技法でしたが、今は、油彩だけでなく、水彩、パステル、木炭なども使って描いています。
(MJLのHP)www.galerielavie.com
(ギリシャイコンHP) www.icones-grecques.com
16、 パリ、ローマ、ヴェニス、パトモス島に住んでいらっしゃいますが、パリジェンヌとしてパリはお好きですか。
パリは文化的に限りなく豊かな都市です。世界中の人々を受け入れていますが、そういった小さな要因がとても大きな可能性をもたらしています。人々はパリでいつも何かを作り出しました。そしていつでも創作意欲をかきたてられる。パリとはそんな街です。
17、
パリのどのようなところがお気に入りですか。もしお勧めの場所があれば教えてくださいますか?
私はパリの美観が大好きです。統一された建造物や大きな並木道。それから、セーヌ川に沿って歩いたり、サン・ルイ島を闊歩したり、カルティエ・ラタン(学生街)の小道に紛れ込んだり、公園の木々を眺めたりするのも好きですね。例えばビュット・ショーモンやモンスーリ公園、リュクサンブール庭園、家の近くならパレ・ロワイヤル、もちろんルーブル宮も、です。パリはロマンティックです。世界で最も美しい街のひとつですよ。
(パリ市のHP公園関連)
http://www.paris.fr/portail/Parcs/Portal.lut?page_id=8005
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キリスト降誕祭のイコン
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ギリシャの風景
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