パリならではのゆっくりとしたリズムに身をゆだねてみたい。
パリジェンヌのお気に入りのグルメスポット
を紹介します。




セ・サンパ
感じいい!親切!ちょっと贅沢!「セ・サンパ」とパリジャンは表現します。そんなサンパなパリを、ほぼ毎週更新でご紹介しています。
マキシム健在
2005.11

Maxim’s
マキシム
 3,rue Royale 75008 Paris
 Tel: 014265-2794





 今回は伝説の店、マキシムを訪れてみた。「パリのレストラン」と言われたら、先ずマキシムの名前を思い出す方も相当いらっしゃると思う。ベル・エポックと呼ばれた華やかなりし時代に世界中の王侯貴族、貴顕紳士淑女が集った場所である。アール・ヌーボースタイルの曲線を生かした豪華な内装は東京のソニービル地下に全く同じものがあるのでご存知の方も多いと思う。

  名前の由来は、カフェのギャルソンであったマキシム・ガイヤールが店を開くのに自分のファーストネームつけたもので、その頃の英語ブームにあやかって「Maxim’s」(マキシムズ)とした。マドレーヌ寺院とコンコルド広場を結ぶロワイヤル通りの3番地に1893年オープンしているが1900年の万博以来人気沸騰のレストランとなり、ロシア、ドイツ、オランダを初めとしてアメリカの億万長者らも集まりドルやルーブルを垂れ流すように使ったと言う。その頃は一等地ではなかったかもしれないのだが、何しろ万博開場からも近かったし、地の利がものを言ったに違いない。それに加えてあの華やかなデコール。パリのレストランの代名詞となった。現在はピエール・カルダンの所有となっている。

 カルダンの衣服のデザインはモダンですっきりとしたものが多いが、装飾の多いアール・ヌーボーが彼自身は好きなようで、だからあのレストランも購入したのだろう。如何に歴史的価値の高いパリの建造物と言えども何か個人的な思い入れがなければ購入はしなかったであろう。ひょっとしたら彼の小さいときに,その何年か前に栄華を極めたものに対する憧れがどこかにあったのかもしれず、功なり名遂げて、彼が半生を振り返った時期にやっと自分のものにした、そういう意味があるのかもしれない。彼のアール・ヌーボーの家具調度品のコレクションがレストランの2階に集められており美術館になっている。美術館のみを見学することも出来る(15ユーロ)が、見学とランチ(飲み物込み)で110ユーロのコースがあるのでそれを取ってみることにした。その際には予約が必要になる。

  11時に見学スタート、先ずマキシムの由来、その発展と変遷が話されレストランの個性と独自な歴史についても語られる。パリ一の豪華なレストランであったマキシムは待合としての機能も持っていたようで、二階は男性と特殊な女性が二人きりで食事を楽しめる個室がいくつもあった。サロンの一室にはメニューで御馴染みの、セムと言う画家のカリカチュアが飾ってあり、当時の有名人やドゥミ・モンデーヌと呼ばれた高級娼婦達の肖像画になっている。後はアール・ヌーボーの花瓶や調度品のコレクションが、サロンからサロンへこれでもかと言うぐらいに現れて食傷気味になる。アール・ヌーボーの作品はどちらかというと装飾過多になりがちなので、あまり一箇所に集められると辟易してしまうのだ。でもサラ・ベルナールの装飾品やベッドなど、なるほどとうなずけるものも多く、アール・ヌーボーの美意識の、一つの見識というものを感じる。

  約一時間の見学のあと、いよいよ昼食。20年ほど前にミシュランのガイドブックで三つ星から二つ星に落とされて以来、マキシムはミシュランの評価を拒否しているので味の方がどうなのか気にはなっていた。

 最初にシャンペンがでてメニューを決める。といっても前菜、メインからそれぞれ2つずつの中から一つを選ぶだけ。レストランで、ワインがついているメニューを選ぶ場合、自分が希望して選ぶような美味しいものは稀であるが、さすがマキシム、シャンペンもワインもマキシムの格を落とすようなものは出していない。まあ美味しく飲める。ミネラル・ウォーターとコーヒーも含んでいる。前菜はムール風味の冷たいクリームスープとアスパラガスのパイ、メインは舌平目のアルベール風か鴨のワインソース、デザートはレモン風味のクレープのスフレ。中ではクリームスープが出色。鴨もさっぱりとした味。

  しかし、はっきり言って今風の鋭い出来とはいいがたい。ちょっと大味と言うか、時代がかっている。30年前にはやったような料理である。値段も選択肢が狭い割りに高い感じがする。これも歴史記念建造物に指定されている内装の故か。それにレストランの歴史も値段に入っているのかもしれない。昔のマキシムのイメージに思い入れのある人にはお勧めだ。豪奢な内装と昔の威勢を偲ぶ思い出の品々とともに、ベル・エポックの時代にタイム・トリップしてみてはいかがだろう。内装を変えたときに、ダイヤのブローチやらカフスボタンやら、いろいろ椅子と革張りの壁の隙間から出てきたと言う。ひょっとしたら、というスリルもある。またキャバレー風の小さな舞台があり、お茶と寸劇の55ユーロのコースもあるという。
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